FXのロスカットについての疑問についてお答えします。
この記事を読むことで、ロスカットの基本概要とロスカットが間に合わなかったときにどうなるのかを理解することができます。
ロスカットとは
ロスカットとは、英語でLoss Cutと言い、その名の通り「損失を切る」意味になります。
損失を切るのは、取引している自分ではなく、FX業者側が自動的に損失を強制決済する仕組みです。
つまり、「ロスカット=強制決済」です。
とFXをやったことがない人は思うかもしれませんが、顧客の損失を一定以上広げないためにも安全装置の役割として、顧客の損失が一定ラインを超えると自動的に決済され、損失拡大の防止につなげているのです。
そのロスカットされる一定ラインというのは、証拠金維持率が○%以下という形で各FX業者取り決めがされていますし、FX業者の利用規約やリスク確認事項にも記載されています。
証拠金維持率とは?
では、証拠金維持率とは何でしょうか?
証拠金維持率とは、必要証拠金に対する有効証拠金の残高の比率です。
この証拠金維持率が○%を下回るとロスカットが執行されるのです。(○%はFX業者により異なります)
同じような「証拠金」という言葉が3つ出てきましたが、難しいことはありません。下記の計算式を見ると分かりやすいと思います。
証拠金維持率の計算式
「有効証拠金(資産合計 + 評価損益 – 出金依頼金)」 ÷ 「必要証拠金合計」 × 100 = 「証拠金維持率」
- 有効証拠金 = 「残高合計 + 評価損益 – 出金依頼額」
- 必要証拠金 = 「約定レート × 取引通貨量 ÷ 最大レバレッジ」
例えば、残高が10万円で取引中の評価損益がマイナス3万円であれば、有効証拠金は7万円です。
取引中の通貨ペアは、1ドル100円の時にドル円を1万通貨約定し、最大25倍のレバレッジ口座で取引していたのなら、必要証拠金は4万円です。
これらの金額を証拠金維持率の計算式に当てはめると、「(有効証拠金)7万円 ÷ 必要証拠金4万円 × 100 = 175%」となります。
これらを自分で計算すると面倒ですが、すべて取引ツールで自動的に計算され、リアルタイムで証拠金維持率が表示されているので心配はいりません。
証拠金維持率50%でロスカットのFX業者が多い
ロスカット率はFX業者によって異なりますが、だいたい証拠金維持率50%以下でロスカット執行と決めているところが多いです。
先程の例でいうと、残高が10万円で評価損益が8万円になってしまうと、有効証拠金は2万円、必要証拠金は4万円ですから、証拠金維持率は50%になりロスカットが執行されることになります。
ロスカットが執行されれば、強制決済ですから、評価損益8万円は8万円損失で確定決済され、残高は2万円となってしまうわけです。
ロスカットされたくなければ追加で入金する
という人も中にはいると思います。自分の取引中のポジションに自信があり、今は含み損になっているけど、もう少し時間が経てば価格が戻って含み益になるまで持っておきたいという人です。
そういう人は、追加でFX口座へ入金して有効証拠金を増やすことで、証拠金維持率を上げることで、ロスカットされるまでの比率を広げることもできます。
例えば、残高が10万円で評価損益がマイナス5万円ならば、有効証拠金は5万円、必要証拠金が4万円の時、5万円÷4万円×100=125%で、ロスカットされるまで余裕がない状態です。
しかし、このときに追加で5万円入金すれば、有効証拠金は10万円に増えるので、「10万円÷4万円×100=250%」となり、証拠金維持率は2倍に伸ばすことができるわけです。
入金したくなくても強制的に入金を請求されるときもある
という人でも、FX業者から不足金を請求される時があります。これは、「追証(おいしょう)」という仕組みです。
追証もFX業者によって証拠金維持率○%以下と決めていますが、一般的には証拠金維持率100%以下で追証になります。
追証が発生すると、翌営業日までに証拠金維持率100%以上になる金額の不足金をFX業者へ入金しなければなりません。もし、入金しなければロスカット(強制決済)になるという仕組みです。
残高10万円、評価損益マイナス7万円、必要証拠金4万円なら、証拠金維持率は「(有効証拠金)3万円÷(必要証拠金)4万円×100=75%」なので、残り25%以上になるようにFX業者へ入金しなければロスカットになってしまいます。この場合、25%以上とは金額にすると1万円以上ですね。
FX業者の中には、追証ラインがなくロスカットだけ設定されているところもあります。
ロスカットが間に合わない時がある
- 証拠金維持率100%以下で追証
- 証拠金維持率50%以下でロスカット
とFX業者ごとに追証とロスカットになる証拠金維持率が決められているので、通常ならFX業者へ入金した残高の範囲で損が抑えられます。
しかし、為替相場では定期的に急激で大きな為替変動が起きたり、週明けの窓開けと言われる値がつかない状態で価格と価格の間に空白地帯ができる相場が起きることがあります。
このような相場の時は値がつかない状態なので、この間は証拠金維持率の計算もできないため、システム上ロスカットが執行されなくなります。
マイナス残高はFX業者へ返済しなければならない
ということは、値がつかない間、損失が拡大し続け残高がマイナス表示になっているときもあるということで、値がついたときにロスカットが執行されると、マイナス残高で損失が確定されるのです。
このマイナス残高の表示は、ゲーム上のお金でも仮想のお金でもなく、本当のあなたのお金なので借金になります。
「そんなことないでしょー」と現実と向き合えない人もいますが、2015年1月15日に起きたスイスフランショックでは、20分間で41%も価格が暴落し、途中値がつかない値飛びが発生し日本でも数百万円の借金になる人が続出したのです。
マイナス残高の損失は、一括でFX業者へ返済する義務があり、返済しない場合は請求書が家に届きます。それでも無視してしまうと、次は裁判所から財産差し押さえの手紙も届いたりするのです。
これが、FXの一番怖いところであり最大のリスクとなります。そのため、FXは借金になるというイメージが拭えないのです。
借金にならないFX業者もある
国内FXは、金商法と証券取引法で顧客の損失の補てん禁止をしていますので、どのFX業者でも日本であれば、マイナス残高は借金になります。
しかし、海外のFX業者であれば、日本の規制対象外なので借金になってしまうことはありません。実質追証がなく、マイナス残高リセットされることから、ゼロカットとも言われています。
なぜ、海外のFX業者は、追証なし損失カバーをしてくれるのか?というと、海外に拠点があるため、負債として顧客に請求ができないというのもあります。正確に言うと請求は可能は可能ですが、手間と金銭的に割に合わないというのが実情でしょう。
それであれば、マイナス残高リセットをサービスとして提供してしまおう!としたのが、現在の海外FXの提供サービスです。
しかし、どの海外FX業者でも良いというわけではなく、マイナス残高を請求される海外FX業者もあります。マイナス残高がゼロにリセットされず、入金したときにマイナス残高と相殺されるという仕組みにしている海外FX業者も存在します。
そして、やはり海外に拠点があるわけですから、入金したけど何かと理由をつけられ出金できないなんていう悪質なFX業者もあります。
特に日本人が経営者とか、日本人をターゲットにしたようなホームページ(日本語のみで他の言語サポートがない)の海外FX業者は、詐欺の可能性が非常に高いです。「日本人が経営に参画しているなら安心」と思う人は多いようですが、闇金あがりの半グレ集団が関わっている海外FX業者を私は知っています。
このFX業者はノミ業者であり、顧客が気づかないように工夫しながら為替レートの操作を行い、顧客の損失(FX業者の利益)につなげています。
すべての日本人経営の海外FX業者が悪質とは言えませんが、一部そういう事実もあるので、人気の高く評判の良いFX業者を選ぶ方が賢明です。
まとめ
- ロスカット=損失の強制決済
- 証拠金維持率50%でロスカットされるFX業者が多い
- 証拠金維持率=有効証拠金÷必要証拠金×100
- 有効証拠金=残高 – 評価損益
- 必要証拠金=約定レート×取引通貨量÷最大レバレッジ
- 証拠金維持率100%で追証になるFX業者が多い
- マイナス残高になった金額は通常は借金になりFX業者へ返済しなければならない
- 借金にならないFX業者もある
国内FXでは、急激な為替変動で値飛びが発生したり、週明けの窓開けにより口座残高がマイナスになり借金になってしまうことが最大のリスクです。
「FX=借金=危ない」というイメージは、ここから来ています。
「FXはやめとけ」と言われるのも、このイメージがあるからでしょう。
しかし、海外の一部のFX業者では、マイナス残高になってしまっても借金にならないFX業者もあるので、もし、このような借金リスクが心配なら海外FX業者で取引してみるのも良いでしょう。
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