FX 初心者が取引しやすい通貨ペアは、米ドル/円(USD/JPY)とユーロ/米ドル(EUR/USD)の 2 つです。理由は、世界で最も取引量が多く流動性が高いこと、その結果スプレッドが狭いこと、そして値動きの大きさが極端でないことの 3 点です。
反対に、トルコリラや南アフリカランド、メキシコペソなどの高金利通貨や、取引量の少ないマイナー通貨は、初心者には取引しにくい通貨ペアです。スプレッドが広く、普段は値動きが小さいのに経済政策や要人発言で突発的に大きく動くため、損失の管理が難しくなります。
本記事では、取引しやすい通貨ペアの 3 つの条件と、取引しにくい通貨ペアの特徴を、それぞれ理由とあわせて解説します。口座を開いたものの、どの通貨ペアから取引を始めるか決められない方を対象にしています。特定の通貨ペアで利益が出ることを示すものではなく、損失を管理しやすい条件を整理したものです。
取引しやすい通貨ペアの 3 つの条件
米ドル/円とユーロ/米ドルが取引しやすい理由は、次の 3 つの条件をどちらも満たしているためです。
米ドルを含むドルストレートの通貨ペア
米ドルは世界の基軸通貨で、為替取引の中心は米ドルを含む通貨ペアです。米ドルを含む通貨ペアはドルストレートと呼ばれ、流動性が最も高く、経済指標の発表や米国・ユーロ圏の要人発言に対して素直に価格が反応する傾向があります。
米ドル/円とユーロ/米ドルはその中でも取引量が多く、値動きの背景となる情報(米国の金利、日本や欧州の金融政策)も日本語で入手しやすい通貨ペアです。通貨ペアの読み方は FX 通貨ペアとは で解説しています。
スプレッドが狭い
スプレッドは売値と買値の差で、新規注文した瞬間にその分だけ含み損から始まります。取引する人が多い通貨ペアほど、その価格で売買したい相手が見つかりやすいため、スプレッドは狭くなります。流動性の高さとスプレッドの狭さは比例します。
取引量の少ない通貨ペアは市場参加者が少なく、売値と買値の差が広がります。スプレッドが広いほど、含み益に転じるまでに必要な値動きが大きくなり、取引のたびに不利な条件から始まることになります。
値動きの大きさが極端でない
ボラティリティとは、一定期間の価格変動の大きさのことです。暗号資産のように 1 日で大きく動く資産はボラティリティが高く、FX の中では英ポンドを含む通貨ペアが高めの傾向にあります。
ボラティリティが高いほど利益の機会も大きくなりますが、レバレッジを使う FX では、値動きが逆方向に進んだときに短時間でロスカットに達するリスクも高くなります。米ドル/円とユーロ/米ドルは、値動きが小さすぎず大きすぎない中間的なボラティリティで、米ドル/円なら 1 日の値幅は 0.5 円(50 pips)前後が目安です。1 万通貨を取引していれば、1 日の損益は数千円の範囲に収まることが多く、損失の管理がしやすい通貨ペアです。
取引しにくい通貨ペア
初心者が避けたいのは、高金利の新興国通貨と、取引量の少ないマイナー通貨です。代表的なのはトルコリラ(TRY)、南アフリカランド(ZAR)、メキシコペソ(MXN)を含む通貨ペアです。
高金利の通貨は下落しやすい
FX で金利差から生じる受け払いはスワップポイントと呼ばれます。高金利通貨は「持っているだけでスワップポイントが受け取れる」というイメージから話題になりますが、スワップポイント目的で長期保有する取引は、多くの場合うまくいきません。
金利が高い通貨は、その国の経済やインフレが不安定であることの裏返しで、通貨の信用が低いため長期的に下落しやすい性質があります。スワップポイントで受け取る金額より為替差損の方が大きくなり、最終的にロスカットで終わる例が多いです。

上のチャートは米ドル/トルコリラの 5 年間の推移で、米ドルに対してトルコリラが長期的に下落していることが分かります。ところどころで突出した値動きがあるのは、経済政策の変更やトルコの要人発言が原因で、こうした場面で大きな損失を出す人が多くいます。
マイナー通貨は市場参加者が少ない
新興国通貨などのマイナー通貨は、世界の市場参加者がわざわざ取引する理由が少なく、流動性が低いです。流動性が低い通貨ペアは、普段は値動きが小さく、何かの経済的な要因があると突発的に大きく動くという性質を持ちます。
スプレッドも広いため、取引した瞬間から大きな含み損で始まり、含み益に転じるまでに数日かかることもあります。スワップポイントがマイナスになる方向で保有していれば、放置するほど損失が広がります。初心者のうちは、値動きとスプレッドの両面で管理しやすい主要通貨ペアに絞るのが基本です。取引する時間帯との組み合わせは FX 初心者が取引しやすい時間帯と通貨ペア で解説しています。
慣れてきたあとの通貨ペアの広げ方
米ドル/円とユーロ/米ドルで値動きの癖とスプレッドの影響をつかんだら、英ポンド/米ドルや豪ドル/米ドルなど他のドルストレートに広げていくのが一般的です。人によって相性の合う通貨ペアは異なるため、取引の記録を残して比べてみましょう。
どの通貨ペアでも、大きなレバレッジで必要証拠金ぎりぎりの資金量で取引すると、わずかな値動きでロスカットに達します。通貨ペアの選択と同じくらい、取引量と実効レバレッジの管理が結果を左右します。レバレッジの考え方は FX レバレッジとは と FX のロスカットとは で解説しています。
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よくある質問
- 米ドル/円とユーロ/米ドルのどちらから始めればよいですか
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円建てで損益をつかみやすいのは米ドル/円、世界で最も取引量が多いのはユーロ/米ドルです。最初は 1 つに絞ると値動きの癖をつかみやすく、慣れてからもう一方に広げる形が一般的です。
- クロス円(ユーロ/円など)は初心者に向きませんか
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ユーロ/円や豪ドル/円は日本では人気がありますが、世界的な取引量はドルストレートより少なく、スプレッドは広めです。米ドル/円で慣れたあとに試すのは問題ありませんが、最初の通貨ペアとしてはドルストレートの方が条件がそろっています。
- 高金利通貨を少額で長期保有するのも避けた方がよいですか
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少額でも、通貨そのものが長期的に下落しやすい性質は変わりません。スワップポイントより為替差損が大きくなる可能性を理解したうえで、失っても影響のない金額に限る判断が必要です。
まとめ
- FX 初心者が取引しやすい通貨ペアは米ドル/円とユーロ/米ドルの 2 つです
- 理由は、米ドルを含むドルストレートで流動性が高い・スプレッドが狭い・値動きの大きさが極端でない、の 3 点です
- トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソなどの高金利通貨は長期的に下落しやすく、スワップポイント目的の保有はうまくいかないことが多いです
- マイナー通貨は市場参加者が少なく、スプレッドが広いうえに突発的に大きく動くため損失の管理が難しいです
- 通貨ペアの選択と同じくらい、取引量と実効レバレッジの管理が結果を左右します
まずは米ドル/円かユーロ/米ドルの 1 つに絞り、取引量を抑えて値動きの癖をつかむことから始めてみましょう。

